@微小ビーズ球を用いる摩擦のない力学実験装置
特許第5257879号 |
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![]() プラスチック製ビーズ球の利用分子間力や 静電気力で表面に付着し、回転する。 ![]() まさつのない実験装置 特許第5257879号 ![]() PKゲームにもなる 参考文献 ・Frictionless Demonstration Using FinePlasticBeadsforTeachingMechanic S.Sawamoto,K.Hosotani,N.Idoris, K.H.Kurniawan,Y.I.Lee,Bj.Ah,K.Ishii and K.Kagawa 科学教育研究,Vol.32,No.2,pp.98-102 (2008) Demonstration of the Action and R eaction Law UsingFine Spherical Plastic Beads A.Khumaeni,S.Tanaka,A.Kobayashi Y.I.Lee,K.HKurniawan,K.Ishiiand K.Kagawa Physics Education,Vol.43,No.6,pp.637- 643(2008) 微小ビーズ球を用いる摩擦のない力学演 示実験T 小林あかね、田中覚、Ali.Khumaeni,石井恭 子、香川 喜一郎 日本理科教育学会発表論文集, Vol.6pp.253 (2008). 微小ビーズ球を用いる摩擦のない力学演 示実験II;: 小林あかね、田中覚、Ali.Khumaeni,石井恭 子、香川 喜一郎 日本理科教育学会発表論文集, Vol.6 pp.428 (2008) ・摩擦のない平面上をゆっくり進む波 香川喜一郎、Ali Khumaeni,田中 覚、 小林あかね、尾山 和久、古田 哲也 福井大学大学院教育研究科教育内容・教材 開発研究会(2009) ゆっくり進む波の動画 微小ビーズ球を用いる摩擦のない力学実験 装置の開発と普及(科研費報告書) NTTドコモ助成事業テキスト公開 ![]() ・ |
力学は理工学の基礎であり、中学・高校の物理で力学の概念形成を十分行っておく必要があります。しかし、現状は、計算問題を解く練習が多く、高校の物理はあまり人気の無い科目となっています。 その大きな理由は、摩擦が影響する条件下では、理論どおり運動の様子を演示することが困難なことにあります。また、重力による落下等の現象では、物体の運動がごく短時間で終了してしまうので、生徒が運動を十分観察することができません。 我々は、安価な材料を用いて、摩擦のない(無視できる)力学演示実験装置を考案しました。これによって生徒は楽しみながら、教科書に登場する力学の法則・現象の殆どを、目で見て確実に納得しながら学習することができます。 現在、摩擦を減らした等速運動などの観察には、力学台車、エアトラック、ドライアイスなどを使って実験を行うのが一般的です。 しかし、こうした特殊な実験装置での実験では、生徒が一般的な法則・現象として理解するのは困難です。また、エアトラックの実験装置は、高価であり、また、直線運動のみしか演示できません。 我々の方法では、ガラスなどの表面に微小なビーズをばらまきます。このビーズがボールベアリングの役割を果たし、摩擦のない2次元面上の物体の運動を自然に近い状態で実現できます。微小ビーズ球の直径は約0.3mmで、これは理科教材会社から、虹ビーズ(中村理科 D-20-1406-01)として市販されているものです。微小ビーズをまいた基板を便宜上ビーズ板と呼ぶことにします。 金属製ボールベアリングを使って摩擦をへらす方法は、30‐40年前にイギリスのナフィールドという本に掲載されています。この場合は金属球がボールベアリングの役割を果たします。 金属球は質量が大きいので、その金属球を回転させるために大きなエネルギーが必要です。そのため、乗せる物体は、1-2kgの重い物体でなければいけません。またこの方法では、面をほんの少し傾けただけで金属球が滑り落ちるため、斜面上で実験することができず、できる実験が非常に限られます。 我々の方法では、軽くて底がフラットな物体であればなんでも使うことができます。また、ビーズの質量が非常に小さいため、ビーズは分子間力で面とくっつくことができ、5度程度の斜面であれば斜面上での実験も行うことができます。 傾きの大きな斜面でも、プラスチックシートに静電気を帯びさせ、そこにビーズを付着させれば、ビーズは同様にボールベアリングの役割を果たし、ます。この方法を用いれば、なめらかな凹凸面での摩擦のない演示実験も可能です。 このように、微小ビーズを用いれば様々な条件下で摩擦のない面を作りだすことができます。よって、同じ物体を用いて同じビーズ板上で、中学・高校・大学で学ぶ殆どの力学関連法則の演示実験ができ、学ぶ側は統一的に理解することができます。 また、この装置を使えば小学校高学年に対しても運動の第1法則(慣性の法則)、第2法則(ニュートンの運動方程式、第3法則(作用・反作用の法則)をある程度理解させることが出来ます。さらに、この方法を応用してビーズ板をゆっくり進む波の実験もできます。 |